[最終更新日]2021/03/05
「トラバース巻き」という言葉を聞かれたことはありますでしょうか。
フィルムなどを加工したものを巻き取る工程の一つである「トラバース巻き」に関してわかりやすくご説明したいと思います。
トラバース巻きとは
細く裁断したテープを巻き取る方法には「レコード巻き」と「トラバース巻き」という主に2種類の巻き方があります。
セロハンテープのように、巻き芯の上に同じ位置で1列に重ねて巻く巻き方を「レコード巻き」と呼びます。
それに対して、ミシン糸や釣り糸のように、巻き芯の幅方向にテープを移動させながら巻く巻き方を「トラバース巻き」と呼びます。
「トラバース巻き」は「ボビン巻き」「綾巻き」とも呼ばれます。
トラバース巻きのメリットとデメリット
トラバース巻きにはレコード巻きに対してメリットとデメリットがあります。
それぞれのメリットとデメリットをご説明します。
トラバース巻きのメリット
トラバース巻きには「長く巻けること」と「崩れにくい」という大きな2つのメリットがあります。
レコード巻きでは巻ける長さに限界があり、また大きくなるにしたがい巻き崩れをおこす危険性があります。
トラバース巻きはレコード巻きに比べ、10倍以上の長さを巻くことが可能で、巻き崩れを起こしにくい巻き方です。
長く巻けるため、ユーザーのテープの付け替え回数が減ります。
例えば、レコード巻きの10倍の長さのテープをトラバース巻きで巻いた場合、テープの付け替え回数は1/10になります。
加工ロットが多いと加工費が安くなります。
例えば、10㎜幅x1000m長x2000巻のレコード巻きと同面積の10㎜幅x5000mx400巻のトラバース巻きを比べますと、加工費は総額で約5割トラバース巻きが安くなります。
トラバース巻きのデメリット
レコード巻きに比べ、トラバース巻きは機械の準備時間が長くかかります。
ですから、加工ロットが少ないと加工費が割高になるというデメリットがあります。
例えば、10㎜幅x1000m長x100巻のレコード巻きと同面積の10㎜幅x5000mx20巻のトラバース巻きを比べますと、加工費は総額で約2割トラバース巻きが高くなります。
レコード巻きと比べると、トラバース機を所有する加工メーカーが少ないため、トラバース巻きが出来る加工メーカーを探さなければいけないという点も挙げられます。
トラバース巻きに向いている素材
以下のような素材は、素材にある程度強度が有り、変化が少なく、長く巻きやすいためトラバース巻きに向いています。
- PET
- OPP
- 蒸着フィルム
- 不織布
- 紙
- 粘着テープ
トラバース巻きをする素材の注意点
用途によりますが、銅箔、アルミ箔などの金属箔は、トラバース巻きのターン部分(巻き芯の端部)で「曲がり(フレア)」が付きますので向いていない場合があります。
また、引張強度の弱い不織布や、極端に伸びやすいPEやウレタン系のフィルムは破断してしまい巻けない場合があります。
当社のトラバース巻きの強み
当社ではトラバース巻き加工で以下のような強みを持っています。
加工スペック
トラバース巻き加工には、裁断する幅(スリット幅)、製品の直径、テープのふり幅、製品コアの内径の4点がポイントになります。
スリット幅
スリットする幅が細くなるほど、スリット後のテープが破断しやすくなったり、反転しやすくなったり、表裏が判別しにくくなります。
また、スリットするための刃が組みにくくなり、高価な刃物を使用しなければうまく裁断することができません。
一般的な最少スリット幅は5mm程度ですが、当社では最少スリット幅0.5㎜からトバース巻きが可能です。
製品直径
製品直径300φ㎜と400㎜φでは巻き長さがどれくらい違うかというと、50μmのフィルムで3“コアと仮定しますと8000mと16000mとほぼ倍近くになります。
1巻あたりの巻き長さが倍になるということは、巻数が半分になりますので、ユーザーのテープ交換の手間は半分になります。
一般的な製品直径は最大300㎜φ程度ですが、当社では製品直径は最大400㎜φまで巻取り可能です。
テープふり幅
一般的なトラバース巻きの最大振り幅は約100㎜ですが、当社の最大振り幅は250㎜です。
100㎜と250㎜を比べますと、テープの巻き長さは2.5倍長く巻けます。
製品コア内径
一般的な製品コア内径は3インチ程度ですが、当社では製品コア内径は10㎜φ~152㎜φまで対応可能です。
お問い合わせ
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